ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

マイルス・デイビス、天才のトランペットの音は模倣だった。

f:id:gunjix:20210411010724j:plainf:id:gunjix:20210411010744j:plain

ハード・バップやクール・ジャズを創造し、モダンジャズの「帝王」と呼ばれたアメリカのジャズ・トランペッター、マイルス・デイビス。その音色は人の心に潜む孤独感に訴え「卵の殻の上を歩くような繊細な音」と絶賛された。彼独特のトランペットの音色はどのようにして生まれたのか。マイルスは18歳の頃、モダン・ジャズの原型となる「ビバップ」のトランペッター デイジー・ガレスピーの高速で高音を吹き続ける音色に衝撃を受けるが、多くの肺活量と唇をすぼめ続ける筋力が必要なデイジーの演奏スタイルは、体が小さく唇の筋力も弱いマイルスにとっては無理であることを悟り、自分に合った音、演奏スタイルを目指すよう方向転換せざるを得なかった。そして、マイルスは友人であるフレディ・ウェブスター(⬆上写真左)のゆったりしたテンポと強弱、そして“間”を活かしたトランペット演奏に惹かれ、フレディの演奏をまねし、取り入れ、高音・高速の Be-Bop とは異なる方向性を見出し、マイルスにとって唯一無二のサウンド作りのキッカケを掴んだのだ。そして唇の弱さをカバーするためにトランペットのベル(開口部)にミュート(弱音器)を付けて反響音を変えマイルス固有の音が出せるように工夫し、それをトレードマークにした。マイルスは高音域を高速で吹く技術を競うのではなく、深みのある音で聴く者の心に語りかけるように吹こうと決め、それ以降、自信を持ってトランペット演奏ができるようになったのだという。ジャズ界の帝王のサクセスストウリーは友人の「模倣」から始まったのだ。