ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

JAZZと映像の究極のコラボ「死刑台のエレベーター」

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半世紀以上前の1958年公開のフランス映画「死刑台のエレベーター」。ヌーヴェルバーグの旗手と謳われた若干25歳の監督ルイ・マル、そのサウンドトラックを担ったのがモダンジャズの鬼才マイルス・デイヴィス31歳だった。物語は不倫関係にある女の依頼で男は女の夫を自殺に見せかけて殺す。ところが証拠隠滅のため殺人現場に立ち戻り再び帰ろうとした時、男はエレベーターに閉じこめられてしまう。約束の時間を過ぎても戻らない男を心配し、夜のパリをさまよう女。男が閉じ込められている間にさらに物語は思わぬ方向へと進んでいってしまうというスリリングなストウリー展開だ。映画作品として高く評価された作品だが、何と言ってもルイ・マルの映像とマイルス・デイビスのジャズサウンドの見事なコラボシーンが一番の見せ場だろう。完全犯罪へと向かって動こうとする愛し合う2人の会話にマイルスのクールなトランペットが切り込み、約束の時間に男が戻らず街をさまよう女にマイルスのミュートトランペットが絡みつく、さらに追跡シーンでのアップテンポなベースの唸り、暴力シーンでのドラムソロ、と静と動を使い分けたマイルスのサウンドが登場人物の心象風景を次々とリアルに描きだしてゆく。マイルスは「ラッシュ・フィルムを見ながら、即興で作曲するというアイデアを(この映画から)得られた。サスペンス映画だったから、凄く古くて暗い憂鬱な感じのする建物で演奏した。これなら音楽に雰囲気を与えてくれると思ったが、確かにそれは効果的だった」と後に語っている。半世紀以上を経ても色褪せないマイルス・デイビスのシネマジャズの最高傑作、あなたもYoutubeでぜひご覧あれ。