北海道札幌市のある病院が公式ウェブサイトで、「布製やウレタン製マスクでご来院された場合は、お断りさせて頂く場合がございます」と明記したり、同じ市内のある中学校が生徒、保護者に向けた「ほけんだより」で「札幌市保健所によると、職場や家庭などで感染者が出た場合、布製やウレタン製マスクを着用している人は感染を拡大しやすいといいます」と伝え、さらに「これは(札幌)市独自の判断基準で、布製やウレタン製は医療用のサージカルマスクや不織布製のマスクに比べ小さな飛沫(ひまつ)が防げないことから、感染リスクを低減できない」とし、行政が定めた基準に基づいたものと説明しているが、札幌市は「保健所からこうした通達をした覚えはない」と全面否定している。SNS上でのこれらのデマ情報の拡散を受け、ネット上では「ウレタンマスク警察」なる言葉も見かけられるようになった。では、「ウレタンマスク=飛沫を防げない」論は、どこから出てきたものなのか。全音楽譜出版社が作成した豊橋技術科学大学の飯田教授の研究による「コロナウイルス飛沫感染に関する研究~マスクの効果と歌唱時のリスク検討~」の「データから見るマスクの効果」と、その研究をもとに作成したイラスト(⬆上図参照)を見た人が発端だったという。豊橋技術科学大学では「ツイッターなどで拡散されていることは把握しているが、実験結果は決して一部の素材のマスクをしないでという意味ではない。飯田教授の思っていることとは、違う趣旨のことで(デマが拡散し)残念に思っている」とし、ウレタンマスクの着用を薦めないものではないと弁明している。一向に収まりを見せないコロナ感染拡大、こうしたデマが飛び交うのもコロナ感染を怖れる日本国民の不安の「現れ」だろう。