トランプ大統領が、先週末の夜、ホワイトハウスで映画『ジョーカー』の上映会を実施した。上映会にはトランプ大統領のほか、家族や友人、ホワイトハウスのスタッフも参加し、ホワイトハウス高官によれば、大統領は『ジョーカー』の主人公アーサー・フレックがジョーカーへと変貌していく、あらゆる示唆に富んだ物語を、大変気に入っていた様子だという。この映画の主人公であるアーサーが自分を苦しめたあらゆる敵に報復し、自身の憎悪と憤怒をテレビを使って拡散する。それに感化された市民が次々に暴動を起こし、ついには彼は「ジョーカー」として市民の精神的なヒーローとなる。そのストウリィは、まるでドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任してから辿ってきた道程に酷似していると言えないだろうか。大統領選挙戦にロシアを介入させた疑惑、メキシコとの国境の壁の建設、イスラム教国7カ国の入国禁止など、次々にマスコミを敵に回し続けてきたトランプ氏のヒールに徹したとも思える政治手法は、さながら「狂った個人をきっかけにして巻き起こる暴力的なムーブメントによって社会を転覆させる」という映画「ジョーカー」のストウリィを彷彿させる、と言えないだろうか。トランプ大統領がこの映画を気に入ったのは、大統領である自分を苦しめ続けているマスコミという「敵」に報復したいという願望があるからに他ならない。果たして、トランプ大統領は「ジョーカー」のように自分の敵(マスコミ)を懲らしめてアメリカの国民にとっての精神的なヒーローと成り得るものだろうか(笑)