ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

悪の化身「ジョーカー」映画に、ナゼ人は夢中になる?

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アメリカの映画館が「子供にみせないでください」と異例の警告を出したり、米軍が出動するまでの騒ぎとなっている映画「ジョーカー」。主人公のアーサーは、ゴッサムシティの貧民街でコメディアンを目指していた。しかし彼は一種の知的障害から他者とコミュニケーションが上手く取れず、ときには暴行をも受けてきた。そういった生まれ育った都市の不条理や、自身の過去と接するうちに、アーサーが抱いていた「他人を笑わせたい」という夢は少しずつ歪んでいき、突発的に証券マンを(自己防衛のため)射殺してしまうと、アーサーの人生は一変し「ジョーカー」へと成長していく。サナギが羽化するようにアーサーは自らを苦しめたあらゆる敵に報復し、自身の憎悪と憤怒をテレビを使って拡散する。それに感化された市民は次々に暴動を起こし、ついには彼は「ジョーカー」として彼らの精神的なヒーローとなる。彼がジョーカーとなって世界を混沌へと陥れていくニヒリズム(虚無主義)にゴッサム市民が同調し、爆炎の中でダンスを踊る悪魔ジョーカーの姿に共感する。現代社会で抑圧に苦しむ人々が、大衆への怒りや憎しみをカテに悪魔の化身となったアーサーに共感するのは、劣等感を持った人間が誰しも心の底に抱いている社会への復讐という願望を叶えてくれるからに他ならない。悪を善と錯覚させてしまうこの映画が人気を博するのは、自分が世間に抑圧されていると感じている人々が、いかに多く存在しているかという「証左」なのかもしれない。