米デューク大学のエイドリアン・ベジャン教授が、「年をとると時間が早く過ぎる現象」について一つの興味深い仮説を発表した。幼児の場合、目をくりくりと動かす眼球運動が頻繁に起こっているため沢山のイメージを捉えることが出来るけれど、年を取って大人になってゆくにつれてこの眼球を動かす頻度がしだいに落ちてくるため、同じ時間の中で捉えられる映像イメージの量が減ってしまい「時間が立つのが早く思えてしまう」というのだ。ベジャン教授によれば、「人間は若ければ若いほど目に映る映像を素早く捉えることができ、それを記憶する能力が高いので若い頃に1日が長く感じられたのは若い脳が1日に多くのイメージを受け取っているからだ」と説明している。このことは古い映画にたとえてみると分かりやすいと言う。現代の映像は、通常1秒につき24コマ(ビデオの場合は29.97コマ)で構成されているが昔の映画は1秒間につき16コマで撮影することしか出来なかった。これだと映画の中の1秒間が過ぎ去るのに実際には1秒の3分の2しかかからない。そのため古い映画では人や物の動きが通常よりも早い動きで見えてしまう。たしかに、あの喜劇王チャップリンの映画作品に代表されるように、昔のサイレント時代の映画はすべての動きが「早送りのような動き」に見えてしまう。その原因は1秒16コマで撮影していたためであり現在の映写機の速度で上映すると、当然早送りのような動きに見えてしまうというわけだ。近頃「1日1日があっという間に過ぎ去ってゆくな」と感じているあなた、チャップリンの映画と同じように1秒間を24コマではなく16コマに省略した早送り「映像」で毎日の出来事を見ているのではありませんか?(笑)