ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

3週間前から自からの死を「公言」していた西部邁氏の「矜持」。

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テレビの討論番組で保守派の論客として知られた元東大教授の西部邁(にしべ・すすむ)氏が多摩川で入水自殺したというショッキングなニュースが流れた。御年78歳という高齢での自殺は我々シニア世代にも切実な衝撃を与えたことは確かだろう。西部氏はかねてから独自の死生観を持ち昨年末に刊行され最期の書となった著書の中で「己の生の最期を他人に命令されたり弄り回されたくないから病院死ではなく自裁死を選ぶ」と記している。さらに8年前に死んだ氏の夫人を自宅介護していた娘に対して「自分の娘に死に行く際の身体的な苦しみを、いわんや精神的な苦しみなどを、すでにその顛末を母親において十分看ているのに、それに輪をかけて見せると言うようなことは出来るだけしたくない、そんな事をするのは廉恥(れんち)に悖(もと)ると考える」と言うコトバを書き残している。そして「自裁」の決行日について、つい3週間前の12月29日のテレビ番組の中で西部氏は語っていた。「(今年の)10月22日と言う日付を忘れられない。実はあの日僕は死ぬ気でいたんです。しかしその日が総選挙になって世間が忙しいときに騒ぎを加えるのは私の意図じゃない。今度は何日にするか言いませんけどね。こんな狂った国に(生きて)居るのは嫌だ」と語っていた。自ら自殺することを公言し、そして実行する。日本を代表する知識人の一人として西部邁氏は昔の武士のような「矜持」を我々に示した最後のインテリであったことは間違いない。合掌。