3年前、イスラム教の過激派組織がイラクとシリアの国境地帯に「イスラム国」の樹立を宣言して始まった「イスラム国騒動」。日本人2人も殺害の犠牲になったその残忍な手口で世界中を震撼させたが、彼らが首都に定めたラッカが2か月前シリア軍によって奪還されほぼ壊滅状態に陥った。3年間の彼らの活動を支えたのは建国当時からイスラム国の傭兵となった欧米を始め世界80カ国から集まった15,000人の若者たちだったという。若者たちはなぜ戒律の厳しいイスラム教へ改宗してまでイスラム国の危険すぎる戦闘員に加わったのか?安全保障と脅威に関する「シカゴプロジェクト」というアメリカの組織がこれまでイスラム国がリリースしてきた1,400本の欧米の若者向けに制作された「勧誘ビデオ」の内容を分析、イスラム国が新兵募集の軸に置いた表現戦略が何かを突き止めたと言う。それは「イスラム国に参加すればあなたはヒーローになれる」という説得手法だと言う。ハリウッド映画にあるようなヒーローになれることを学び取れる映像の制作、若者たちはそれまでの退屈な日々から「ダイハード」や「荒野のストレンジャー」の主人公に自分がなれると言う「誘い文句」に惹きつけられてしまうのだと言う。つまり、IS志願者の若者たちは宗教信念というものではなくISが約束する「英雄になれる特権」に惹かれて組織に加わっていくのだと言う。そういえば、イスラム国が建国された3年前、北海道大学の学生が「就職活動が上手くゆかなかったのでIS戦闘員になろうと思った」と供述したイスラム国への渡航直前に発覚した事件を思い出した。彼もまた自分が砂漠の国のヒーローになる夢を見ていたのだろうか。