ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

ロッドスチュワートの「セイリング」実は荒海を恐れる歌だった。

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ロッドスチュワートがハスキーな声で朗々と歌いあげる名曲「セイリング」。海の男のロマンを感じさせる勇壮なこの歌は日本でも大ヒットしロッドスチュワートと言えば真っ先にこの「セイリング」が浮かんでくる。彼のライブでこの歌が始まると観客席がまるで大海原に化したかの様に「セイリング」の大合唱が会場内をうねりながら響き合うという感動的なシーンが展開されるのが常だ。この曲はスコットランドのフォークデユオ「サザーランドブラザース」が作詞作曲しこれをロッドスチュワートがカバーしたことで大ヒットとなった話は有名だ。この曲の作詞をしたガヴィン・サザーランドの出身地はスコットランドの北海マレイ湾に面する小さな漁村。家の前はすぐ海で背後は急峻な崖に囲まれ嵐の日には家の屋根にまで波が打ちあがる厳しい環境の寒村だった。サザーランド兄弟の父親は漁師で、その父親から「嵐の中で生きて帰れないと思ったことが何度もあった。(そんな時)神に助けを求め、そして助けてくださったのだ」という話を何度も繰り返し聞かされてサザーランド兄弟は育ったと言う。名曲「セイリング」の歌詞はスコットランドの漁師が荒波を乗り越えてゆく勇壮なイメージの歌だと思っていたが、実は荒波の恐怖の中で無事に港へ帰れることをひたすら神に祈り続ける漁師の歌だったのだ。サザーランド兄弟と同じスコットランド出身の両親を持ったロッドスチュワートが、イギリスから1972年に米国ロサンゼルスに移住し孤独の中で珍しく酒を飲まずにレコーディングしたという「セイリング」。ハスキーで敬虔な響きのその歌声が世界中の人々の心を打ったのは、無意識に「神への祈り」が込められているからなのかもしれない。