我が国の最低賃金が、全国平均で1004円と、政府が目標とする「1000円」を初めて超えた。しかし、政府がG7各国の実質賃金の推移を調べたところ、1991年を100とすると、2020年に米国は約147、イギリスは約144。対して、日本は約103と先進7カ国中で最低の水準だ。そんな中、岸田首相が、「新しい資本主義実現会議」で最低賃金は「2030年代半ばまでに全国平均が1500円となることを目指す」と表明した。実現させるには日本の全企業の7割を占める中小企業に巨額の助成金が必要になる。そんなことより「消費税をゼロにすることだ」と獨協大学教授で経済アナリストの森永卓郎氏⬆が提案している。森永教授は、「そもそもこの30年近く日本の賃金が上がらなかったのは、消費税が原因だった。消費税が導入されたことで消費が冷え込み、それに伴い企業の売り上げが落ちた。その結果、企業は人件費を上げることができなくなった。消費税をゼロにすれば、実質賃金がすぐに5~6%プラスになります。そうなればお金が消費に回り企業の売り上げが増加し企業は活力を取り戻しますから、賃金を支払う余力が出てきて最低賃金も上がります。ただ、消費税をゼロにすると、地方税を含め年29兆円近い税収が吹き飛びます。でも、2020年度に日本は80兆円の財政収支の赤字を出しましたが、財務省が心配した国債の暴落も円の暴落もインフレも起きませんでした。ただ、一気に消費税をゼロにすると混乱が起きるかもしれないので、まず10%から5%に下げ、3年後にゼロにする、こうすれば最低賃金1500円は3年後に実現できる」、と森永教授は実現可能なストゥリーを提案している。