ニューヨークの日本総領事館のウェブサイトに、170年前にペリーが日本へ黒船で来航した際のエピソードをまとめた『日本遠征関連逸話集』が掲載されている。この中で、ペリーが寺子屋や藩校などで学ぶ日本人の教育水準の高さや、職人の腕のよさ、礼節を尊ぶ国民性に感嘆した様子が詳しく記述されている。とくにペリーは日本人が潜在的にもっている技術力の高さに注目し、こう述べている。「日本人は、手工業において非常な精巧さと緻密さを示している。そして彼等の道具の粗末さ、機械に対する知識の不完全さなど不利な条件下でも、彼等の手工業上の技術の完璧さにはすばらしいものがある。日本の手工業者は世界におけるいかなる手工業者にも劣らず熟練して精通しており、国民の発明力をもっと自由に発達させるならば、他の国の物質的進歩の成果を学ぶ彼等の好奇心、それらを自らの使用目的にあてる敏速さによって、日本人は世界で最も成功している工業国民になっていただろう。他国民との交流から日本国民を孤立させている政府の排外政策(鎖国)が緩和されるならば、彼等はまもなく最も発達した国々の水準まで達するだろう。日本人が一度文明世界の過去及び現在の技能を手にしたならば、強力な競争者として、将来の機械工業の成功を目指す世界の競争に加わるだろう」。ペリーが予測した通り、「鎖国」を解いた日本は、それから116年後の1969年GDP世界2位の国にまで発展することが出来たのだ。