1986年11月25日、東京有楽町 で三菱銀行の現金輸送車が後部のハッチを開けた瞬間、ヘルメットで覆面した3人が催涙スプレーで行員を襲撃。現金を強奪し、ワゴンで逃走し3億3千万円があっという間に雑踏の中に消え去った。犯人一味は西銀座地下駐車場に車を止め、3億3千万円が入ったジュラルミンケースから現金をカバンにつめ替え、作業の目撃者もないまま立ち去った。映画を見てるようなその手際の良さは、何とフランス人ギャング一味による犯行だった。主犯は、フランスのギャング組織の大幹部フィリップ・ジャマン(⬆上写真中央)、ジャマン一味は銀行強盗、自動車強盗、絵画の盗難密売など、ありとあらゆる犯罪に手を染めるフランスギャングの一団だった。警視庁がこの事件の捜査本部を設置した頃、ジャマンと仲間たちはすでに成田空港から飛び立っていた。事件から1年後の1987年10月ジャマンは、捨てた千円札に付いていた指紋から国際指名手配され、国際刑事警察機構によって1988年4月潜伏先のメキシコで逮捕、他の2名はフランス国内で逮捕された。フランスのギャング一味は、なぜ遠い日本までわざわざ出向いて3億円強奪事件を起こしたのか。ジャマンはフランスの美術館から盗みだしたモネやルノワールの名画を売りさばく目的で来日、しかし、あまりに有名な絵画作品のため日本での買い手が見つからず、警備が甘い日本の 銀行強盗を思いついたのだった。