NCAA(全米大学体育協会)のバスケの試合、強豪同士の対決となったデューク大対ノースカロライナ大の試合。全米大学屈指の好カードの主役選手であるデューク大のザイオン・ウィリアムソン選手が、試合開始直後に履いていたナイキ製シューズの右足内側のソールとアッパーの継ぎ目が大きく裂けて(上の写真)足を滑らせ膝を負傷してしまった。前代未聞のアクシデントに場内が騒然となる中、同選手は右足を引きずりながらコートを後にし、エースが不在となったデューク大チームは完敗してしまった。アメリカでの大学バスケットボールの人気は非常に高く、この日はオバマ前大統領も観戦していた上、ウィリアムソン選手は地区トップを走るデューク大学でプロ入りも確実視されるスター選手だったこともあって今回のナイキシューズの破損による負傷退場は全米のテレビや新聞で大きく報道された。この事件から一夜明けた翌日にはナイキの株価が一時最大1.7%減少。終値は1.1%マイナスの83.95ドルで、時価総額にして約11億ドル(約1216億6千万円)も減少してしまったのだ。アクシデントの直後にナイキ社は声明文を発表し、ウィリアムソン選手の早期回復を願うとともに「わが社の製品の質と性能は最も重要である」と述べたが、たった1足のシューズ破損でこれだけの株価の下落は前代未聞の出来事だろう。シューズが裂けた原因究明はこれからだろうがナイキにとってシューズ1足の破損を大々的に報じたマスコミによって足首を負傷した選手以上の「痛すぎる大損害」を被ってしまったというわけだ。