ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

「やまんばトーク」は差別発言と物議を呼んだ大女優「市原悦子さん」訃報。

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また一人強烈な個性を持った演技派女優の市原悦子さんが亡くなった。彼女が20年間も声優を務めたTVアニメ「にほん昔ばなし」は彼女の代表作品のひとつだが、3年前のNHKテレビでこの中で一番好きな作品は?と問われた市原さんは即座に「やまんば」と答え、「世の中からズレた、ハズれた、落ち込んだ人が山に行って。例えば『かたわ』になった人とかね。それから『人減らし』で、長男は良いけど『次男は捨てる』とかね。外国から来た『毛唐』がバケモノだ、とかね。そういう人が山で住んでいて、髭ぼうぼうになって、疎外された人たちが『やまんば』の原点だと勝手に解釈するんです、私。そうすると、彼らは大変な反骨精神と憎しみがありますよね。だから人に対する攻撃がすごいですね。そのかわり心の通じた人とはこよなく手をつなぐ。その極端が好き」だと彼女らしい言葉で熱く語ったのだが、この発言の中で現代ではすでに死語となっている「かたわ」「毛唐」という差別用語を使ったとして当時はちょっとばかり物議を呼んだ。毒のある「やまんば」の魅力について語りたいあまりの彼女の毒のある「失言」だったと思われるが、そんな市原さんは『戦争童話シリーズ』という反戦的な朗読CD・DVDを出し続けたり、東日本大震災後は「反原発運動」の呼びかけ人になるなど、一本筋の通った反骨精神を持ち合わせたインテリジェンス(知性)あふれる女優でもあった。その落ち着いた上品なトークの合間に、ちょいちょい毒のある発言を織り交ぜる、まるっきり表情も変えずに冷静なままの温和な語り口で毒を秘めた「やまんばトーク」を聞かせてくれた市原悦子さん、その魅力ある発言がもう聞かれないのは実に残念なことだ、ご冥福をお祈りしたい。