イギリスの絵画オークション会場で先週1億5千万円で落札された絵画が落札直後に絵が勝手に動き出し内部に仕込まれたシュレッダーによって裁断されてしまった事件が大きな話題となった。ところが落札者は事件から1週間後に1億5千万円での買い入れを承諾したという。購入した女性は「裁断された瞬間はショックを受けたが徐々に自分がアートの歴史を手に入れたことに気付いた」からだと言う。このイタズラを仕掛けたのが絵画を描いた本人バンクシーだった。彼はメトロポリタン美術館や他の有名美術館に無断で自分の絵を展示したり勝手にビルの壁画を描いたりディズニーランドの遊具に人形を乗せたりで知名度を上げてきた「イタズラこそ芸術だ」を実践している神出鬼没の芸術テロリストなのだ。バンクシーは正体を決して明かさず「ナゾの芸術家」としても知られるが4年前に「イタズラ描きの最中に逮捕」というニュースが彼の顔写真付きで報じられ(上の写真)皆が「これがバンクシーの顔なのか」と思ったのもつかの間、このニュースさえ彼のイタズラによるフェイクニュースであることが後で判明したのだ。これだけのイタズラの限りを尽くして知名度を上げ続ける芸術家バンクシー。今回のオークション会場の絵画裁断によって彼の名前はさらに世界的に有名になった。裁断された絵画を1億5千万円で購入した女性は、本人が言うように「あたらしいアートの歴史を手に入れた」ことに間違いは無いのかもしれない。