歴史と伝統のあるボストンマラソンで日本の市民ランナー川内優輝選手が日本人選手として31年ぶりの快挙を成し遂げた。かの有名な瀬古利彦選手以来の日本人ランナーが手にした大金星だ。冷たい雨に強風という最悪のコンディションの中で、川内選手が見せたのは猛烈なスタートダッシュという作戦でテレビ中継で「クレイジー」と叫ばれるほどのぶっちぎりの走りでいきなりレースの主導権を握って見せた。しかしレースの中盤では2番手集団に吸収されるなど川内選手の逃げ切り先行の作戦は失敗したかと思われていた中、勝負どころの35km過ぎに再び集団を飛び出してトップを走るケニアのランナーを猛追して、残り2キロで遂にトップに立って劇的な大逆転レースで優勝のテープを切ったのだ。スタートからゴールまで川内選手のドラマチックなその走りに「アメイジング」「アンビリーバブル」を繰り返すテレビ中継にテレビの視聴者もクギ付けのままだったという。マラソン界にドラマを作り続ける男、川内優輝選手は国際大会の日本代表をすでに辞退している身だがその「根性走り」はまだまだ世界の大舞台で通用することを証明してみせた。先月、マラソンの日本記録を塗り替え1億円を手にした実業団所属のプロのランナーとは違う「公務員ランナー」の川内優輝選手。31年ぶりのボストン・マラソン優勝を果たした彼にこそ「国民栄誉賞」を与えるべきではないだろうか。