いま渋谷のタワーレコードでジョン・レノンとオノ・ヨーコによる伝説のパフォーマンス「ベッドイン」の写真展が開催されている。1969年に結婚した2人がアムステルダムとモントリオールで2度行ったベッドイン。2人がただひたすらベッドに寝転び平和について訴えるだけというアピール手法を当時はなぜかくだらないパフォーマンスと思っていたものだが、約半世紀たった今当時のベッドの上のジョン・レノンのインタビューにあらためて耳を傾けてみると、彼は世界平和についての黙示録=啓示を行っていた事に驚かされる。当時約150万人もの戦死者をだし泥沼化していたベトナム戦争の最中、ベッドの中からジョン・レノンは「いまテレビで空爆や砲撃など戦争のコマーシャル(報道)が流れている。僕らのベッドインは平和のコマーシャルなんだ」とその意味について語っている。しかしこの2度のベッドインのパフォーマンスは人々には十分に理解されずに居たなかでGive peace a chance(平和を我らに)の名曲が生まれたのだ。この曲はキング牧師が人種差別を訴えIhave dreamの名演説を行ったワシントン大行進で歌われたジョーン・バエズの「勝利を我らに」と共に反戦歌・平和へのメッセージソングの代表曲として歴史に残る名曲となったのである。半世紀前のベッドの中で「大衆は自分の力というものを知ってほしい。その気になればすべてを止められるんだ」と力説したジョン・レノン。いくつもの伝説を生み出し続けたこの男は、ミュージシャンの歴史に燦然と輝く不世出の人物であることに間違いないだろう。