ニューヨークの現代アートのオークションでバスキアが描いたドクロの絵を123億円という価格で落札した日本人前澤友作氏はファッション通販で有名なZOZOタウンの社長をしている若干41歳の新世代のリーダーだ。彼は年収10億円、資産は2000億円と若くして財を成した人物として有名だが、現代アートの美術館を造るために惜しげもなく大金を使うようにそのお金の使い方が新世代の資産家らしいセンス(感性)にあふれている。36歳の時には出身地千葉のマリンスタジアムの改修のために1億円をポンと寄付し千葉市長から感謝された。同じ36歳で起きた東日本大震災の際にはZOZOタウンオリジナルTシャッを制作して販売その売上金3億5397万円を全額寄付、37歳の時にモダンアートの普及およびアーティストの活動助成を目的にした「現代芸術振興財団」を設立し会長職にも就任したのである。稼いだ金は手放さない資産家が多い中で、自分のセンス(感性)に響くものにはどんどんお金を使う。まだ世界の美術館での評価が定まっていないバスキアの絵を大金を投じて購入するのも彼の感性に響くものがあったからだろう。前澤氏のお金を使う美学には「もったいない」という言葉は含まれないようだ。彼が7年前34歳の時のある雑誌のインタビュー記事に興味深い発言がある。「会社を経営することが(自分にとって)重要なことではありません。(自分が)生きてゆくうえでのモチベーションは人の幸せ・喜びにつながっていてそれを実現したい、同時に(他人の)悲しいことや不条理なことを是正したい。この2つが僕の生きるモチベーションです」と語っている。お金を稼いで貯め込むよりも「他人の幸せや喜びにつながることに使いたい」元ミュージシャンだった彼らしい発言だ。