ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

スティーブ・ジョブズは、なぜ黒のハイネックを制服にしたのか。

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Macintoshのパソコン、iPod、iPhone、iPadなど、数多くの革新的な製品を世に送り出し、アップルを世界のトップ企業へと導き、現代人のライフスタイルを変えたIT界の巨人スティーブ・ジョブズ。アップルの新製品のプレゼンテーションで、スティーブ・ジョブズがいつも身に付けていた黒のハイネックセーター⬆は、生前の彼を知る人々にとって実に鮮明な記憶として甦ってくる。あのハイネックをジョブスがつねに着るようになったキッカケをご存知だろうか。1980年代、出張で日本に来たジョブズは、彼が尊敬していたソニー会長の盛田昭夫氏を訪ねてソニーの工場を見学した際、従業員が着ていた世界的デザイナー三宅一生デザインの制服が目に留った。裂けにくいナイロン素材でつくられた制服はファスナー留めの袖を外すとベストに変身する。これに感動したジョブズは三宅一生に連絡して、アップルの労働者のための制服を依頼するが、出来上がってきたサンプルは制服着用を嫌うアップル社員には不評で採用されることはなかった。しかし、制服を毎日着る事は便利で個性的なイメージも伝えられると、自分専用の「制服」を作ることをジョブスは思いつく。そこで「君が着ていたハイネックが気に入ったので、私のために何着か作ってくれとイッセイに頼んだ。そうしたら彼は百着近く作ってくれたんだ。僕の服はこれだ。死ぬまで大丈夫なくらい用意してあるよ」とそれ以来 イッセイが着ていたのと同じ黒のハイネックがジョブスの「制服」になったというわけだ。ところで、この三宅一生デザインのハイネック、シンプルに見えるが素材は40番手の太さを2本撚り合わせたコーマ糸で編まれた天竺コットン。墨のような黒いカラーを出すために何度も繰り返し染めを繰り返した特別仕様、さらに三宅氏はスタッフ総出でジョブズの身体をすみずみまで採寸し、両腕の長さ、肩幅、果ては袖をまくった時の左右のバランスまで計算し、これ以上はないほどのスペシャルオーダー品を作り上げたのだ。シンプルで美しく、それでいて高機能が備わった商品を次々と生み出したジョブスとイッセイ、2人の感性が響き合って生まれた「制服」だったと言えるだろう。