ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

「白ヒゲのおじいさん」あれはダヴィンチの自画像ではなかった。

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天才画家レオナルド・ダ・ヴィンチの『自画像』といえば、白ヒゲを生やしたおじいさん(⬆上写真左側)というのが常識とされ、我々も教科書などで馴染んでいる自画像だ。伝承ではこのドローイングをレオナルドが描いたのは58歳〜60歳ごろといわれるが、この顔はどう見ても80歳ぐらいに見えることから「自画像ではないのでは?」と古くから疑問視されてきた。そんな中、今から12年前の2008年にイタリアの美術史家が、ダヴィンチが描いたと思われる古い自画像を新たに発見した(⬆上写真右側)。この美術史家は修復士らとプロジェクトを作り、これがダ・ヴィンチが描いた自画像かどうか科学的な調査を入念に行った。使われた顔料、絵の土台である板の材質の特定(ポプラと判明)、木が存在した時期(炭素14法による年代測定)、弟子のメルツィが1515年頃描いたダ・ヴィンチの肖像画との比較など、その中で決め手となったひとつは、裏板にダヴィンチにしか書けない鏡文字(裏返しの文字)を発見したことだ。“Pinxit Mea”とラテン語で書かれており、これは、下手なラテン語で「彼が私自身を描いた」と文法がデタラメでラテン語の素養があまりなかったダビンチの筆跡と特定された。筆跡鑑定によっても、この文字がダビンチの手稿の文字に酷似していることもわかった。さらに、「肖像画」に残された指紋(絵の表現の一部に指を使って描いた跡があり画面に指紋が残されていた)を調査し、その作者の親指の指紋を再現。これがダビンチ作とされている他の作品「白貂を抱く貴婦人」から発見された指紋と一致したことが判明した。ほぼダヴィンチの描いた自画像と特定されたこの画像、これまでダヴィンチの自画像とされてきた「白ヒゲのおじいさん」よりはるかにハンサム(ダヴィンチは美男子としても有名だった)で若く見え、より信憑性の高い「自画像」と言えないだろうか。