今年は日本人の受賞者なしで終わったノーベル賞発表ウィーク。それにしてもノーベル文学賞を「今年こそ受賞する」とこの季節になると言われ続けて居る小説家村上春樹氏はまったくもってお気の毒な限りだ。なおさら今年は日本生まれの英国人カズオ・イシグロ氏が文学賞を受賞したと聞くと村上氏が痛ましくさえ思えてくる。村上氏がノーベル賞候補として初めてニュースになったのが今から何と12年前、ノーベル賞の国スェーデンの新聞社が企画した読者による「ノーベル賞受賞者予想投票企画」に氏の名前が登場したからだ。ヨーロッパで人気のある日本人作家村上氏が、読者投票で名前が挙がるのは別に不思議ではないが、それがノーベル賞選考委員会でそのまま候補になっているという確証は全ったく無い。12年前スェーデンの村上ファンが勝手に挙げた候補者名を日本のマスコミはあたかもノーベル賞選考委員会が候補に挙げたという勘違いした事からこの村上春樹&ノーベル賞騒動が始まったのだ。もっともヒドイ話が4年前に起きた産経新聞による「村上氏がノーベル賞を受賞」という大誤報騒動だ。(上記写真参照)村上氏本人もこの誤報にはおおいに面食らったに違いない。その後も村上氏が候補になっているという根拠のない噂が秋の風物詩と化しているが、実の所、彼の作品が候補になっているという確証はまったく不明なままだ。受賞発表から50年経たなければ選考過程について公開しないというルールがノーベル賞選考委員会にあるためだ。ツィツターで行われたアンケート調査でも村上春樹&ノーベル賞のニュースは88%もの人が「飽き飽きしている、要らない」と回答しているんだとか。12年間も執拗にこの話題を持ち出す日本のマスコミのイイ加減さには呆れかえるばかり、良識のあるメディアとしての自覚があるなら、ここら辺できっぱりと幕引きをすべきだろう。