全豪オープンでフェデラーとの壮絶なフルセットの戦いで錦織圭は惜しくも敗れ去った。往年の凄みが消えた35歳のフェデラーに27歳の錦織はなぜ勝てなかったのだろうか。「2セット目からフェデラーが絶えずプレッシャーをかけて来るのを感じた。サービスも入って来るしミスも減ってリズムが合ってくると危なくなるな」と錦織はこの時感じていたという。同じタイミングでフェデラーの心の内はどうだったのか?勝利した後のコートインタビュー(YouTube参照)でフェデラーは2セット目から「 Staying Calm(落ち着いて行こう)と自分に言い聞かせた」のだという。ファイナルセットの場面でも「Staying Calmを頭において戦っていこうと考えた。錦織はファイナルセットになると負けないというデータがあるのでStaying Calmで行こうと考えていた」とStaying Calmというコトバを3度も繰り返し使って勝利した理由を述べたのである。錦織が「プレッシャーをかけてきている」と感じていた時間にフェデラーは懸命に自分を落ち着かせようとしていただけなのだ。これは、フェデラーより大一番の経験が少ない錦織の完全な判断ミスだろう。錦織は果敢にフェデラーとのフルセットを戦ったが、「落ち着きのあるプレイ」を終始心掛けたフェデラーに対して時折、浮足立ってしまった錦織のプレイが勝負の明暗を分けたと言えるだろう。試合後の錦織圭はフェデラーとの勝負を「ちょっとの差」と表現したが、それがまさにStaying Calm=落ち着きの差だったというわけだ。次のグランドスラムでは錦織圭の「落ち着きあるプレイ」で優勝するシーンをぜひ見てみたいものだ。