大統領時代から現在まで浮気を繰返している夫ビル・クリントンに悩まされ続けるヒラリーに対して女性蔑視のトランプの選挙戦は明らかにヒラリーに分があると日本人の多くが思ったのに、ヒラリーはトランプにあっさりと敗れ去った。いくつかの原因がマスコミで取り沙汰されているが、選挙結果のデータを見る限り、その敗因はヒラリーが想いの外、女性票を獲得できなかった点にあると言うのは妥当な敗因とみるべきだろう。選挙結果で公表された得票率を見てみても高卒以下の女性では実に68%がトランプ氏に投票し、ヒラリーが庶民層の女性たちにいかに嫌われていたかがこの数字に現れている。では、なぜヒラリーは同性である女性にこれほどまでに不人気だったのか。トランプ氏とのTV公開討論の一場面で、ヒラリーが女性蔑視のトランプ候補を罵倒し続けてる横で「何て嫌な女なんだ」とつぶやくトランプ氏が写しだされていたが、ヒラリーの熱弁よりも、このトランプのつぶやきに米国の多くの女性が賛同したのである。また街頭インタビューでトランプ氏のセクハラ疑惑への意見を聞かれた女性が「男ならあれぐらいは許されるわ」と答えていたのにも驚かされたが、要するにヒラリーはエリートぶった鼻持ちならない女というイメージが米国の庶民階級の女性たちに根強かったことは間違いない。若いころから「私はクッキーを家で焼くような女ではない」と言い続けてきたヒラリーは、一方で浮気な夫に悩まされ続ける悲劇の女性でもあったにも関わらず女性からの同情票は集まらなかった。それよりも「庶民には冷たいエリート女性」という彼女の持つイメージが、家でクッキーを焼く女性達から恨みを買ってしまった、ということになるのだろうか。