450万部を超えるベストセラーとなった著作『バカの壁』で知られる東京大学名誉教授で医学博士の養老孟司先生⬆、今年で86歳となった自分の人生について振り返っている。「まあ、よく生きてるなあ、と思います。この間も友達の葬式があってね、自分もこの先いつコロッと死んでもおかしくない。そう考えると、「もし今日やらなきゃ一生やらないな」っていうことはたくさん出てきて、かえって生きるって何だろうと随分、考えるようになった。老いについてですか。別にめでたくもないけどね、歳を取るのも悪くない……、80を過ぎてからますますそう思っています。 テレビの番組なんかで若い人があれこれ悩んでいるのを見ても、ああ、よかった、こっちは、もうああいう青春の悩みはないよ、と思う。外国のドラマで男女関係がもつれ、ああだこうだというのを見ても、「やめときゃいいのに」と思っている。ああいうのは、たいてい面倒くさいでしょう。つまり、(人生は)なるべくしてなる。病気だって自然現象だから、なるようになる、と思っている。老いや病を敵視する人も意外に多いけれど、歳を取れば、老いるのは当たり前だし、いつかは必ず死ぬ。人の致死率は100パーセントで、この先どうなるかは、なりゆきです」。 人生というものは、養老先生が言うように「なりゆき」で致死率100%に確実に向かうモノであることは間違いない。