プロ野球のセ・リーグは、阪神タイガースが2005年以来18年ぶり6回目の優勝を果たした。昨年の秋、新監督に就任し秋季練習が始まった10月24日、岡田監督は「1年目から優勝を目指すからな。今日だけは優勝と言うけど、明日からは『アレ』って言うからな」と選手たちに語りかけた。すると秋季練習やキャンプ、オフの契約更改の場で、「一緒に“アレ”目指して頑張りたい」(湯浅選手)、「絶対に“アレ”をして、喜ばせたい」(岩崎選手)、「優勝したら絶対、流行語になるでしょ。“アレ”を目指して頑張りたいと思います」(佐藤輝選手)と選手が次々に岡田監督の魔法にかかったように「アレ」を口にするようになっていた。岡田監督が優勝の2文字を「アレ」と言い換えはじめたキッカケは、2010年にオリックスの監督を務めていたころセパ交流戦で優勝が見えてくるとオリックスの選手たちが「優勝」と言う言葉の重みに押しつぶされ調子を落としてしまう。そこで岡田監督は「優勝」を「アレ」と言い換えコーチや報道陣も「アレ」と表現するようにしたら選手たちは優勝のプレッシャーから解放されオリックスは見事交流選で優勝を掴んだのだ。「アレ」という表現で選手たちが優勝を意識しすぎず、のびのびとプレイできたことで18年振りの優勝を掴んだ阪神タイガーズ。岡田監督は優勝インタビューで「まさか、ここまでみんなに浸透すると思わなかったので、まあ今日で一応アレは封印して、みんなで優勝を分かち合いたいと思う」と自らの心理作戦が成功した喜びを語った。