2週間前に「国有財産」行政への国民の信頼を失ったとして麻生財務大臣から懲戒処分され5000万円の退職金で依願退職した元国税庁長官佐川宣寿氏。東大卒で国家公務員のキャリアコースを歩み続け60歳にして初めて彼が味わった大きな挫折だった。その挫折の原因になったのが森友学園に絡む国有地の格安払い下げに関する「決裁文書の改ざん」だった。改ざん作業を行った近畿財務局では何者かに「改ざん」をリークされ自殺者まで出る騒ぎにまで拡大しエリート官僚であった佐川氏は追い詰められた。今回のリークは、明確に佐川氏を狙ったものであり安倍政権から優秀な官僚として「適材適所だ」と褒めそやされていた理財局長時代に彼が安倍首相へのゴマすり精神から行った「決裁文書の書き換え」指示だった。木を見て森を見ず、ではないが「上を見て下を見なかった」佐川氏にとっての手痛いエラーであった。政治評論家田原総一朗氏がこの事件の論評の中で「森友学園の土地売却で価格を8億円安くした。これは財務省の安倍首相へのトンデモナイ忖度だ。今回の文書の書き換えも忖度ゆえの公文書偽造だ。これでは財務省は情けなさすぎる。そう感じた財務官僚によるリークではないのか」と、指摘している。佐川氏は安倍・麻生両大臣が寵愛したように優秀な官僚である反面、部下へのパワハラ疑惑などつねに出世欲の強い官僚であった。自分の足元を見ずに上ばかり向いていいたために部下のリークにつまづいてしまった。彼を初めてつまづかせた元部下であった官僚に拍手喝采を贈ろうではないか。