英国王室のプリンスヘンリー王子がアメリカの女優メーガン・マークルさんとの婚約を発表した。すぐさまイギリスのゴシップ紙デイリーメールがマークルさんがアフリカ系アメリカ人であることや母親がスラム街の出身であることなどを暴露してマークルさんをブラック・プリンセスと揶揄したのだ。マークルさんは王子との婚約記者会見の席で、こうした報道を「人種差別だ」と非難したというニュース報道があった。言われてみれば確かに彼女はアフリカ系の面立ちをしている女性だと気付かされたが、それよりも、アフリカ系の血を引く彼女をプリンセスとして受け入れた英国王室の寛容さにこそ驚かされる。イギリスの新聞は英国王室が「バイレイシャル(白人と黒人との間の子供)を受け入れたことによってイギリス人の人種とのかかわり方が永久に変わるだろう」と大々的に報じている。では天皇退位でさえもたついている日本の皇室でこうした婚約は可能なのだろうか、とふと思った。同じ島国でありながら人種問題を全く気にしていない英国王室。そういえばヘンリー王子の母親で王位継承者の妻であったダイアナ妃の21年前の離婚なども日本人の感覚では理解を超える出来事だった。さらに英国王室の歴史を80年前にまで遡れば国王の地位を捨てて離婚歴のある夫人と結婚してしまったエドワード8世の存在も歴史的に有名だ。王室で生まれ育っても結婚相手は自由に選ぶ権利がある、伝統ある英国王室に脈々と伝わるこの精神こそまさにグレートブリテンと呼ぶにふさわしい自由な姿勢の現れだろう。現代のニュープリンセス、マークルさんに心から祝福の拍手を送りたい。