ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

谷村新司「昴」は、石川啄木の歌を食べて生まれた名曲なり。

シンガーソングライターの谷村新司さんが74歳で亡くなった。谷村さんが創った歌といえば何と言っても「昴」が一番だろう。NHK紅白歌合戦で5回も歌われ、中国やタイなどアジア圏の国々で今でも愛唱されているこの歌。初めてこの歌を聞いたとき、歌詞の持つ文学性の高さに驚いた記憶がある。しかし、同時にどこかで聞いたようなフレーズでもあると感じたのは気のせいなのかと思っていたら、ある時、SNSで「昴と啄木」と題したブログを見つけ読んでみて、その疑問は氷解した。 🎵 1、 目を閉じて 何も見えず 哀しくて目を開ければ 荒野に向かう道より 他に見えるものはなし ・・・・・ 🎵2, 呼吸をすれば 胸の中、 凩(こがらし)は吠(な)き続ける  されど我が胸は熱く 夢を追い続けるなり・・・・・ 。 この一番と二番の歌詞が、石川啄木の歌 🎵 呼吸(いき)すれば、 胸の中(うち)にて鳴る音あり。 凩(こがらし)よりもさびしきその音! 🎵 眼閉づれど、 心にうかぶ何もなし。 さびしくも、また、眼をあけるかな(歌集「悲しき玩具」より)とソックリだというのだ。さらに、このブログ主は、啄木が文芸雑誌『スバル』の同人であったことの連想によって谷村氏が『昴』の題名を得た可能性もあるとしている。これらの指摘に対して谷村さん本人は、「大学時代に石川啄木を読みました。読んだと言うより食べました。そしてその時食べた糧が、曲や詩となって出てきたのです」と答えている。啄木の歌を食べて「昴」の歌詞へと昇華させた谷村新司さん、こころからご冥福を祈りたい。