北大西洋で1912年に沈没したタイタニック号の探索ツアーに向かった潜水艇「タイタン」(⬆左)が2023年6月18日に行方不明となった事故、 捜索の結果、タイタンの破片が見つかり(⬆右)、同艇が水圧によりバラバラに破壊されたと見られ、乗っていた5人の生存は絶望的となった。タイタンは、タイタニック号が眠る水深約4000mまで潜れるようには設計されておらず、構造に不備があり1300mまでの圧力にしか耐えられないと指摘した従業員が、解雇されたとの報道もある。タイタンが4000mの水圧に耐えられなかったと思われる理由は、深海用の潜水艇は船体がチタン合金100%製なのに対してタイタンはカーボンファイバーとチタンの複合材の船体で、深海用潜水艇が水圧に強い球体の構造であるのに対して水圧を受けやすい円筒形の船体(⬆左)をしていて、4000mの深海の水圧には耐えられないジャンク(=ガラクタ)潜水艇だったのだ。またアメリカでは、調査用の潜水艇は設計深度の1.25倍の深さに耐えられないといけない規定があるが「タイタン」は、国際海域で運用する実験潜水艇という扱いだったため、厳しい安全基準が適用されていなかったという。映画「タイタニック」制作のためタイタニック号の調査に何度も潜水艇で潜ったことがあるジェームズ・キャメロン監督は「この潜水ツアーは、ひどいアイデアだと思った。深海のエンジニアでもない乗客を乗せるのに実験用の潜水艇を使うべきではない」と怒りを込めたコメントをした。