横綱日馬富士による暴行事件で、被害者である貴ノ岩の相撲協会の事情聴取を親方として一貫して拒み続けてきた貴乃花理事。再三の協会側からの要請を無視し続けるその態度は、暴行事件を通り越して貴乃花理事VS日本相撲協会という協会内の対立構図を世間に知らしめる結果になった。自分の弟子である貴ノ岩が被害を受けたのを契機にして、貴乃花親方はどうやら相撲協会の組織そのものの改革に着手しようと目論んでいるようなのだ。元都知事の石原慎太郎氏も「貴乃花親方を非常識のように非難する世間は相撲協会と言うブラックボックスを明かす気はないのだろうか」と彼を擁護する発言を行っている。ガンコなまでのダンマリ戦術も彼の描いたシナリオ通りに感じられるし貴乃花親方はまさに協会改革を目指す「確信犯」のようなのだ。我々は普通「そうすれば問題になる事がわかっていながらそうする人」を「確信犯」と呼んでいるが、国語辞書を見てみると「政治的、道義的、思想的な確信に基づく義務感や使命感から行う犯行」というのが正しい「確信犯」で意味内容は奥が深いのである。貴乃花親方は、日本伝統の相撲道にこだわりを持ち、現在の相撲界を席巻するモンゴル力士達の「馴れ合い相撲」に日頃から批判的だと言う。こうした彼の考えを指示する親方達も多いとも聞く。現在の白鵬を筆頭にモンゴル力士のやりたい放題を放置し続けてきた相撲協会への不満から発した貴乃花親方の「確信犯」的なやり方が吉と出るか凶と出るか今後の成り行きに注目したい。