WBC準決勝、侍ジャパン対メジャー軍団アメリカとの試合は2-1で前回のWBCと同じ準決勝敗退が決まった。この試合の4日前に昨年度のワールドシリーズを制したカブスとの練習試合があった。侍ジャパンの打撃フォームを見たカブスのマドン監督が「日本は足を上げて打つバッターが多い。足を高く上げ地面に着くまでの時間が長いと(動くボールに)アジャストできない」と指摘した。言われてみれば、アメリカとの準決勝で足を上げて打つ侍ジャパンの中田・坂本・山田・松田が予選ラウンドの打撃とは打って変わって凡打の山を築いていた。最近のアメリカ野球はかっての豪快なストレートで打者を切って取る野球から、動くボールでゴロを打たせてアウトにする緻密なベースボールへと進化している。固唾を飲んで試合を観戦していた我々の目にもこの試合の侍ジャパンの打者はことごとくショートゴロやピッチャーゴロを打たされ簡単にアウトカウントを重ねていたように思う。予選無敗のあの打撃陣の活躍がウソのような貧打ぶりに観てる方が目を疑うような有様だった。「なぜ、侍はアメリカの投手を打ち崩せなかったのか」。試合後、4打数無安打に終わった中田翔は「一番メジャーの力を感じたのは動くボール。正直あそこまで動くボールを投げるピッチャーは日本には居ないですから。それほど速さを感じなくても動くボールに差し込まれる状態が続いていた。メジャーのピッチャーはさすがに凄いなと感じた」と述べている。今回のアメリカチームは動くボールを使って「ゴロを打たせる」のが上手なピッチャーを揃えてきた。「動くボール」対策としては「体の内側からバットを出し、中堅方向へ強く打ち返す打撃」つまりセンター返しの打法でヒットが生まれるのだが、今回侍の中でこうした工夫した打撃をしたのはホームランを放った菊池選手だけだったように思われる。しかし、すでに「後の祭り」、次のWBCの大会で、侍ジャパンがメジャー投手の「動くボール」を「足を上げない」打法で完璧に打ち崩す事を期待するしかない。