ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

手を組み、顔の表情だけで指揮した天才指揮者バーンスタイン。

ヘルベルト・フォン・カラヤンと並んで20世紀を代表するクラシック音楽の指揮者だったレーナード・バーンスタイン。「コンサートのルールブックを打ち破る」という彼の情熱的な指揮ぶりは、例えば興に乗ると指揮台上でジャンプするパフォーマンスなどでファンを魅了した。その彼の究極のパフォーマンスが、1984 年にウィーン楽友協会で行われたウィーン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮する場面で起きた。ハイドンの交響曲88番第四楽章の入りの部分だけ指揮棒を使ったバーンスタインは、何と指揮棒を左手にぶら下げ、やがて腕を組み目と顔の表情だけでウィーン・フィルを指揮し始めた⬆。奇妙な笑顔やしかめっ面、さらには眉を挙げたり唇を尖らすなど表情を様々に変化させてオーケストラのテンポとダイナミックスさを見事に引き出してみせたのだ。オーケストラの楽団員は、指揮者が入りの部分を指示すれば、あとは細かな指示を与えなくても自発的に演奏することができるそうだが、それにしてもバーンスタインの「顔指揮」という前代未聞の大胆さ、この「顔指揮」の後、ウィーン・フィルのコントラバス奏者は、「バーンスタインの振る指揮棒はテクニックなんて全く持ってないが、ただハートがすばらしい。あの人が来るだけで、あのハートに酔っちゃうんだ」と偉大な指揮者バーンスタインの指揮棒を振らない「顔指揮」をリスペクトしたという。百聞は一見にしかず、ぜひあなたもYouTubeで、「バーンスタイン 顔指揮」と入力検索してぜひご視聴あれ。