ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

映画「ジョーズ」のサウンド、なぜ恐怖を感じるのか。

巨大な人喰鮫が海水浴客を襲うというスティーヴン・スピルバーグ監督による1975年の恐怖映画「ジョーズ」。映画史に残るその恐怖感は、アカデミー作曲賞を受賞したジョン・ウィリアムズ⬆のサウンドトラックのおかげだ。監督のスピルバーグも「ウィリアムズの音楽がなければ映画の成功は半分だっただろう」と後に語っている。映画冒頭のシーン、海の中を鮫の目線で進んでゆくカメラの動きに合わせて、ドゥードゥンとコントラバスの低い音が不気味にゆっくり奏でられ「EとF」の2つの音符が次第にテンポアップしていってホルンが鳴りバイオリンが被さり、さらに高音の木管の音がクラッシュ音のように被さって、何か恐ろしいことが起こる雰囲気が高まってくる。ジョーズがひそやかに人間に迫ってくる様子がコントラバスのドゥードゥン(クレッシェンドと半音進行)の連続で表現されている。ベースとなっている「2つの音符 (「EとF」あるいは「FとF♯」 が半音でぶつかって聞こえてくるこの状態が、聴く人の恐怖感を一層駆り立てる効果がある、という。作曲したウィリアムズはこの「ジョーズ」のテーマが「あなたをバラバラにしてしまうだろう、サメがそうするように、本能的で・容赦なく・手のつけられないように」と作曲の意図について語っている。音楽学者のジョセフ・カンチェラーロは、「2つの音符」の連続表現がサメの鼓動を模したもの、に思えるため「恐怖感」が一層駆り立てられるのだ、と解釈している。