ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

元医学生ジョルジオ・アルマーニが創ったソフトスーツ美学。

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イタリアを代表するファッションデザイナーで、「モード界の帝王」と称されるジョルジオ・アルマーニ。彼は1980年代に、スーツの立体形を立体として成らしめる2つの要素のうちの1つである=副資材(肩パットや縫い芯)を、完膚なきまでに取り除きそれまでのテイラード・スーツの常識を根底から覆すデザインのスーツを創り上げた。アルマーニのスーツは、型を作る資材を取り除き、体のラインに沿うような柔らかくしなやかな生地を使うことで「本当の男性の着る美しさ」を表現したのだ。気軽に羽織る為に生まれたジャケットと、真の男性美を求めることによって生まれたジャケット。それは、unconstructed jacket(アンコン・ジャケット)と呼ばれ、ジャケットに肩パッドや芯などを使い身体のラインをカッチリと構築するクラシックで伝統的なスタイルのジャケットが主流であった時代に、それらの資材を取り除くことで、より体のラインが柔らかくセクシーに映えるように仕立てたソフトスーツを誕生させたのだ。ミラノ大学医学部出身のアルマーニ氏のキャリアになぞらえれば「スーツの解剖」によってソフトスーツは生み出されたのだ。41歳で自らの会社を設立し、自社ブランド(アルマーニ)を発表した遅咲きの異色ファッションデザイナーでありながら、86歳の今日まで進化を止めないジョルジオ・アルマーニ、彼の生き方そのものが、ひとつの美学であると言えようか。