全国でクマが人里に出没し、人を襲う事件が相次いでいる。これまでに、3千頭のクマに遭遇し、8回襲われた経験があり「熊が人を襲うとき」(つり人社)という著書もある日本ツキノワグマ研究所(広島県)の米田(まいた)一彦理事長(72)⬆によれば、「クマにばったり出くわしたら、地面に伏せて首をガードし、1撃目を食らわないのが大事」。クマが攻撃してくるときは、抱きついてきて鼻にかみつき、窒息させることもあるため、立ったままでいると重篤化し、死亡することも多いという。こんな場合には、「死んだふりは効果がある」と米田さんは話す。東京農工大の小池准教授は「クマによる死亡事故で、最も多いのは失血死。クマに襲われ『死なないこと』を目標にするなら、うつぶせになり、けい動脈を切られないよう、両手で首の後ろを押さえてクマが離れるのを待つしかない」と語っている。つまり、「死んだふり」というのは、頸動脈を切られないように首の後を押さえながらうつぶせになることを指すようだ。しかし、これはクマが目と鼻の先に急接近した場合の「究極の対処法」であって、普通にクマと遭遇した場合の対処法を先ず知っておきたい。ひとつは、木の後ろに隠れ木のフリをすることが有効だという。クマは動くものには目が早いが、じっとしているものは何か判別できないという。さらにクマがこちらに近づいてくる場合は、両手を挙げてできるだけ体を大きく見せながら、周りに木材や石など武器になるようなものがあれば手に取り大声で威嚇すれば、ほとんどの熊は離れていくいう。クマを見かけたらいきなり「死んだふり」をするのは危険だという事を、しっかりと頭に入れておこう。