ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

江戸時代、犬が飼い主の代理で「お伊勢参り」するのが流行った。

f:id:gunjix:20220104115702j:plain

江戸時代の中期以降、江戸庶民の間でブームとなった「お伊勢参り」。江戸から伊勢神宮までの距離は126里(504km)往復で252里 (1,008km)で往復25日前後の日数がかかったという。この「お伊勢参り」を、病気等で参詣が叶わぬ飼い主の代わりに犬が504km離れた江戸と伊勢神宮の間を単独で往復したという「おかげ犬」と呼ばれる「犬の代参」が江戸時代にはひんぱんに行われていたという話に驚かされる。歌川広重の「東海道五十三次」の「四日市」の画面にも、首に荷物を括りつけて旅をしている「おかげ犬」の姿が描かれている。飼い主は、エサ代、船賃、賽銭代など旅の費用となる銭と、参宮の目的と住所を記した木札を犬の首に結びつけて犬を送り出す(⬆上図参照)。道中で犬と出会った人々は木札を見て、その犬が伊勢の方向へ進めるように導き、やがて犬は504kmもの距離を歩き通して伊勢へとたどり着く。無事に伊勢神宮に着くと、人々の助けによって神宮のお札を手に入れ、お札を体に括りつけられた犬は、今度は首の木札に記された住所によって、またもや道中で出会う人々の手に導かれ、飼い主が待つ江戸へと無事戻ってきたという。このように犬のお伊勢参りは、旅の途中で出会う人々の善意と協力によって成立していた。飼い主からは旅で必要となる銭をあらかじめ持たされていたが、途中で出会った人々からの施しによって、帰って来たときには逆に銭が増えていたこともあったという。財布を落としても無事に戻ってくる国ニッポン、170年前の「おかげ犬」に見られるように、日本人の心に宿る「善意と協力の精神」は素晴らしき「DNA」だと思いませんか。