
自伝的な小説や、エッセー「九十歳。何がめでたい」などで波乱に富んだ人生をユーモラスに描いた直木賞作家の佐藤愛子さんが102歳で大往生した。90歳で書いたエッセイ『九十歳。何がめでたい』は、累積で117万部以上を売り上げ、続編の『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』と合わせたシリーズ累計では180万部を突破する大ヒットを記録した。歳を重ねても読者に愛され続けた佐藤さんの作品の持つ魅力は、怒りや悲しみそして寂しさすらも笑いやユーモアに変えてしまう、その「筆力」のおかげだったと言えよう。かつて夫だった男の破綻した生涯と自己の人生を振り返る実録風の自伝的小説『晩鐘』の中に書かれている「陰毛」についての話に、彼女のユーモアたっぷりの「センス」が読み取れる。「元夫の借金の件で闇金に呼ばれた私は、ソファの上に陰毛を見つけるわけね。さてはここで受付嬢とヤッたなと思うと、もう相手がヤクザだろうが、怖くも何ともない。世界の色彩が変わるんです。陰毛がある、それを見つけることが大事で、私はその陰毛を見つける人間なんですよ(笑)」。「人生の機微」をユーモラスにそして鋭く突いた佐藤愛子さん、ご冥福を祈りたい。