
英国ノッティンガム大学の研究者らがWhy people follow rules(人はなぜ規則に従うのか)という疑問を解明するための実験を行った。実験は、1万4034人を調査対象に実施した。参加者はコンピュータ画面上の丸を道路に沿って動かし、赤信号を通過しながらゴールを目指す。持ち時間は20秒で、1秒ごとに報酬は減っていく。つまり、赤信号を無視してゴールに向かって進めば多くの報酬がもらえるが、「信号が青になるまで待つ」というルールが示されている。この実験は完全に匿名で行われ、誰も見ていない状況で行われた。規則を破っても罰則はなく、誰にも迷惑を掛けない。信号待ちすることで報酬の約半分を失うにもかかわらず、平均65.6%の人が報酬を犠牲にしてまで「赤信号は渡らなかった」という驚きの結果となった。 この実験では同時に、「他の参加者の行動を伝えるとどうなるか」も調べた。「他の人の0~20%しか規則を守らない」と告げると「赤信号を渡らなかった人」は平均35.2%にまで落ち込んだのに対し、「他の人は81~100%ルールを守る」と告げられると「赤信号を渡らない人」は平均56%にまで増えた。これらの実験を通じて、約23%の人は他人がどう行動しようと関係なく規則を守る「無条件派」で、約30%は周りの人が規則を守るなら自分も守るという「条件付き派」で、全体で53%の人が「ルールは守る」ことが明らかになった、という。