
今ら600年前の室町時代に、現代の能楽の源流となる申楽(さるがく)を大成した人物として現代にその名を残す「世阿弥(ぜあみ)」。幽玄をたたえる「夢幻能」の形式を完成させた彼が、その教えを説いた『風姿花伝(花伝書)』⇧の中に、「秘すれば花なり、秘せずは花なるべからず」という訓えが出てくる。現代風に直訳すると、「何でも表に出すより控えめに慎ましやかな所作の方が美しい」という意味になろうか。世阿弥は「花と面白きとめづらしきと、これ三つは同じ心なり」とも述べて、観客を「面白がらせ、魅了し、感動させること」が演技における三つの要素だと説いている。「花伝書」をさらに読み進めると、「はじめから珍しい物を披露すると言うと、観客はそれを期待するのでさほど驚かないが、何も知らせずに突然珍しい物を披露すると、観客は非常に驚き盛り上がる。人々に思いもよらぬ感動を与える事、それこそが”花”というものだ」と世阿弥は説いている。「秘すれば花」とは、観る人に感動を与える「パフォーマンスの心得」とは何かについて世阿弥が説いたマニュアルだと言えよう。「秘すれば花」を現代風に平たく捉えるなら、「人を魅了する極意」のことで、秘すればその分期待感が高まり、その人の魅力に「プラスアルファ」が生れるという意味になる。あなたは、「秘するモノ」を何かお持ちですか(笑)