4年前に、心筋梗塞から奇跡の生還を遂げた東京大学医学部名誉教授の養老孟司先生(87)⬆️(上左)が、肺がんになった。「がん当事者になって、変わったことはあるか?」という質問に、養老先生は「別に考え方は変わっていませんが、まあ僕の場合は、身から出たサビです。あれだけタバコを吸っていたら肺がんになるのも無理はねえな、という気持ちはあります。肺がんは、小細胞がんと非小細胞がんに大きく分かれると言いましたが、非小細胞肺がんはタバコとは無関係に発症する肺がんです。これに対し、僕が診断された小細胞肺がんは、喫煙者に多い肺がんです。僕は60年以上もタバコを吸い続けてきたのですから、いつ肺がんになってもおかしくはないのです。タバコの体への影響は、禁煙して20年たたないと、吸わない人と同じにならないので、僕が今タバコをやめてもほとんど意味はありませんが、入院しているのですから、これも辛抱するしかありません。自分の治療に関して、私は原則を決めていまして、まず最初に医者を選ぶ。そして選んだあとは文句を言わない、これが原則です。選んだ先生の治療方針には従いますし、文句を言うこともありません。世の中に病院が好きな人はいるのでしょうか? 少なくとも、僕は嫌いです。病院は監獄や学校のようなところですから、自由がありません。しかし、入院してしまったら、文句を言ってもしょうがありません。そもそも、先に「文句は言わない」と宣言しているのですから、不満があったとしても、辛抱するしかないのです」。東大医学部卒で名誉教授でありながら87歳の現在でも無頼派(常識に囚われない)医者を貫く養老先生、肺がんになっても意気軒昂なご様子だ。