ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

トンボの描き方で「天才」とわかった、ダヴィンチと北斎。

スイスのバーゼル大学の遺伝学者であるデビッド・セイラー教授は、有名なルネサンス期の芸術家レオナルド・ダ・ヴィンチと江戸時代後期の浮世絵師である葛飾北斎は、スポーツのトッププロが持つような「クイック・アイ」を備えており、優れた動体視力で一瞬を切り取るように絵を描いている、と分析した。セイラー教授がダ・ヴィンチの動体視力に着目したきっかけは、ダ・ヴィンチがトンボの飛行について残したメモにあった。メモには「トンボは4つの翼で飛ぶが、前の羽が上がると後ろの羽が下がる」と書かれていた(⬆上左)が、セイラー教授自身はトンボをいくら注意深く観察しても、動きが素早いためぼんやりとした輪郭しか見ることができなかったという。そこで、「動体視力が優れているとはどういうことか」を研究し、トンボの「後ろの羽」は「前の羽」と約100分の1秒ずれており、この1秒に100回という速さは、一般的な人間のクイックアイ(素早くモノを観察する目)の約2倍の速さだということを突き止めた。すなわち、ダヴィンチがトンボの前後の羽のズレを肉眼で捉えていたということは、極めて高い動体視力を備えており、普段の人の視界で見えている情報とは異なっていた可能性があるとセイラー教授は指摘する。セイラー教授は又、江戸時代後期の浮世絵師である葛飾北斎も、優れた動体視力を備えていて、北斎は飛行中のトンボがどのように羽を動かしているか正確に描写した木版画を作成(⬆上右)しており、ダ・ヴィンチ同様に極めて高いクイック・アイを備えていたと考えられる、という。奇しくも、トンボの描き方で、その天才ぶりがわかったダヴィンチと北斎、2人とも歴史に残る偉大な画家であったことは間違いない。