ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

ナンはインドの料理と誤解させた、日本人窯職人高橋重雄。

 

インドで、カレーと共に食べられているイメージのあるナン。実際に日本に店をかまえる多くのインド・ネパール料理店が、手作りのナンをカレーとともに提供している。しかし、実は‟本場インドでナンは99%食べられていない”ことをご存知だろうか?その理由は、ナンを焼く大型の壺タンドール窯がインドににはほとんど無いからだ。インドでは、大きな楕円形のナンではなく、フライパンで簡単に焼くことができる「チャパティ」と呼ばれる薄い焼きパンを食べている。では、インド料理にはナンというイメージを日本人に植え付けたのは一体誰なのか。東京・東神田にある有限会社神田川石材商工の先代社長の故・高橋重雄さん⬆がその人だ。高橋さんは、それまで製造していたパン焼き窯の売り上げが低迷したため、1968年から「インドではタンドール窯を使ってナンを焼いている」という勘違いから、タンドール窯の製作を始め、当時のインド・ネパール料理店へ売り込んたが、ほとんど相手にされなかったという。しかし、インド人ですら知らないタンドール窯で焼くナンの美味しさをアピールし続けタンドール窯の営業をコツコツと続けた結果、その熱意によって仕方なくタンドール窯を導入してくれるインド料理店舗が徐々に増え始める。そして製造開始から44年後の2012年には累計で3500台のタンドール窯を日本国内のインド料理店に納めたという。日本人の窯職人の勘違いで始まった「インド料理にはナン」という日本だけの常識、インド料理店の主人の心を動かし、日本人の舌をうならせるナンをメニューに載せさせた高橋重雄さん考案のタンドール窯、美味しい話だと思いませんか。