ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

名優クリント・イーストウッド、巨匠黒澤明に突然キスした。

1990年5月に開催された第43回カンヌ国際映画祭での出来事。特別招待作品に選ばれた日本の黒澤明監督の映画「夢」が上映されることになり、会場に入ろうとした黒澤監督に向かって、突然群衆の中から現れた大物俳優クリント・イーストウッドが、「mr.kurosawa」と言いながら駆け寄り黒澤監督の頬にキスをし「あなたがいなかったら、今の私はなかった」と感謝の言葉を告げるというハプニングが起きた。これはクリント・イーストウッドを世界的に有名なスターにした映画『荒野の用心棒』(⬆上右)が、黒澤明監督の映画『用心棒』(⬆上左)をリメイクした作品だったからだ。彼の俳優人生は下積み時代が長く『荒野の用心棒』で一躍人気俳優の仲間入りができたのは34歳の時だった。1963年後半、当時は無名に近かった映画監督セルジオ・レオーネから『荒野の用心棒』の主演をオファーされたイーストウッドは、最初は出演に難色を示したが、脚本を10ページ読んだところで、この映画が黒澤明の3年前の作品『用心棒』をモデルにしていることに気付き、脚本は残酷であるが非常に知的であるというこの映画の可能性を感じてイーストウッドは主演を承諾したのだった。この黒澤監督の『用心棒』のリメイクが発覚すると『荒野の用心棒』側は全面的に謝罪。賠償金10万ドルと「荒野の用心棒」の日本での興行権、さらに世界配収益の15%を日本側に支払うことで決着した経緯がある。黒澤監督は、事もあろうに問題のその作品に主演した俳優クリント・イーストウッドのカンヌでの突然のキスに、さぞや面食らったに違いない(笑)