ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

假屋崎省吾を、草月流家元の勅使河原宏が認めた瞬間。

今や、華道家としてトップスターとなった假屋崎省吾氏。伝統を重んじる華道界とは無縁の一般家庭で育った彼が、華道界のトップにまでなれたのは、草月流三代目家元で映画監督として知られる勅使河原宏氏(⬆上左)の慧眼に叶ったからだ。勅使河原氏は、カンヌ国際映画祭での特別受賞やアカデミー賞監督賞にもノミネートされた戦後を代表する映画監督でありながら三代目草月流家元を努め、「草月流」本部教室に「生け花で、それを仕事として独立する気概を持った人材」を育てようと「男子専科」を開設、その第1期生として假屋崎省吾(⬆上右)が入学してきた。勅使河原氏は、生徒であった仮屋崎についてこんな風に語っている。「ある日、天井から床までを使って、教室の空間をわがもの顔で独占している作品にぶつかった。机上の、与えられたスペースにつつましく生けているほかの生徒たちの作品が、蜘蛛の巣のように這いまわるその太い線にまるで気がねしているようで、かわいそうに見えるのだった。誰あろう、その作品の主こそ假屋崎省吾であった。色白でやさしいまなざしの彼に似合わぬ大胆さが、彼の作品の特長ともいえる。教室から抜け出た假屋崎省吾は、水を得た魚で、あらゆる空間をほしいままに表現している。絵とか彫刻とか、古びた手法と無縁に育った彼の可能性に、私は大きな期待をよせている」。華道界の伝統に囚われない師と華道の常識に囚われない弟子、この教室での2人の出会いこそが、仮屋崎省吾が華道の世界に大きく羽ばたく瞬間だったと言えるだろう。