ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

映画音楽「第三の男」監督とアントン・カラスの壮絶バトル。

作品よりテーマ曲が有名な映画音楽「第三の男」、TVコマーシャルで頻繁に使われ日本人には馴染みの曲だ。この映画の監督キャロル・リード(⬆上写真右)は、この映画のロケで訪れたウィーンの居酒屋でオーストリアの民族楽器チターを巧みに演奏するアントン・カラス(⬆上写真左)の音色に衝撃を受け、既にテーマ曲としてオーケストラの楽曲が用意されていたにもかかわらず、カラスの演奏を映画のテーマ曲にしようと決めたのだ。監督のリードは、カラスをロンドンの自宅に住まわせ、テーマ曲を作曲させることにする。ウィーンからロンドンへ移り住んだカラスも心血を注いで作曲に励むが、環境の急変などもあり、作業は遅々として進まない。メイン・テーマとなる曲が生み出せずカラスは苦悩する。そんなある日、映画の撮影現場から帰宅したリードはカラスの部屋に入ると、床に大の字に倒れ込み「俺は今死んだ! 死んだ人間を蘇らせられるのはお前のチターだけだ! カラス、俺を生き返らせる曲を弾いてみてくれ」と叫ぶ。カラスは驚き、リードの気迫に押されながらチターを何度も弾いてみるが、リードは満足せず床に倒れたままだった。数時間弾き続け、カラスが、もうこれで駄目だと観念した瞬間、リードが床から起き上がり、あの不滅の数小節がカラスの指から放たれたのだ。名曲誕生のウラにドラマあり、作曲から74年経った現在でも、映画音楽「第三の男」のチターの音色は色褪せない。YouTubeでご視聴あれ。