居酒屋経営の経験を買われ商品開発担当としてドムドムフードサービスに入社した51歳の主婦藤﨑 忍さん。当時ドムドムハンバーガーの店舗の営業成績は極めて低い状態だった。18年3月期の決算数字を見た藤崎さんは「このままでは、事業再生できない」と強く思い「私を『意見を言える立場』である役員にしてください」と上層部にいきなり掛け合った。まだ入社数カ月で、実績もないので難しい──と断られるも、彼女は諦めずに改善点を資料にまとめたり、電話で上司に思いを語ったりと、アタックを続けた。こうした熱意が実り、わずか入社9カ月で社長に就任することになった。ここから彼女の快進撃が始まった。19年秋に発売した「丸ごと!!カニバーガー」が大ヒット。こんがり揚げたソフトシェルクラブを1匹丸ごとバンズに挟んだ豪快なビジュアルからSNSで話題となり、たちまち売り切れが続出した。さらに、人気声優田村ゆかりさんをイメージした「ゆかりチキンバーガー」を開発、ピンクのタルタルソースが特徴の商品だ。声優のイベント会場で1日500食の売り上げを目指したところ、初日で目標の2倍の約1000食を販売。何とか在庫をかき集め、2日間で約1900食を販売した。さらに、ドムドムハンバーガーのマスコットキャラクターの「どむぞうくん」とアパレルブランドとのコラボレーションで大ヒットを記録。斬新なアイデアを次々取り入れ驚異のV字回復劇を遂げたドムドムハンバーガー。一時期は「バーガー界の絶滅危惧種」と呼ばれたのに、女性らしい「感性」で黒字化を見事に達成した藤﨑 忍さん、アッパレな社長である。