ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

坂本龍馬は、本当に歴史のヒーローなのか。

政治組織と武器や軍艦の輸入会社を兼ねた亀山社中(海援隊)を組織し薩長同盟の成立に協力するなど、倒幕および明治維新に大きく関わったとされる歴史的なヒーロー坂本龍馬⬆。しかし、歴史の専門家から、いくつかの疑念の声が出てきている。坂本龍馬が、徳川慶喜が朝廷に政権を返還する「大政奉還」について唱えたという文書「船中八策」は、後世に創作されたとの説が有力で、龍馬が提唱したことを示す明らかな証拠は出ていない。また、薩長同盟の成立を龍馬が仲介していたという明らかな史料は現在でも出てきてない。下級武士の出で脱藩者でもあった龍馬が幕末の権力者達と対等に渡り合えたのは、彼個人の資質というよりも、彼が軍艦や武器輸入の「営業マン」という強みを持っていたからだ、という見方もある。さらに、明治維新直後に出版された「志士100人列伝」の中に、龍馬の名が一切出てこないのは当時の人々が誰も幕末の志士として坂本龍馬を認識してなかったからだ、とも言われている。その龍馬が現代の社会でなぜ歴史的なヒーローにまでなり得たのか。それは、龍馬没後96年を経て1963年に書かれた司馬遼太郎の長編小説「竜馬がゆく」によるところが大きい。しかし、司馬氏はあくまでこの小説はフィクションだと語っており、「龍」を「竜」としたところにもその意図がうかがえる。物語中に出てくる「竜馬」は、司馬氏が作り出した理想の「龍馬像」だったのだ。現代の人が抱く歴史的なヒーロー坂本龍馬のイメージは、この作品によって作られたものであって、史実とは大きく異なることを我々は認識しておくべきだろう。