コロナ禍もすでに3年、「そろそろマスクを外しても良いのでは?」という議論が、にわかに活発になってきている。しかし、マスクを外しても良いと言われ、すでに殆どの人がマスクを外してしまっている欧米人に比べて、マスクを決して外そうとしない日本人が大部分だ。日本人がマスクを着けるのが好きなのは、コロナ禍以前からだが「マスク大国日本」の歴史について研究する慶應大学文学部研究員の住田朋久氏が、欧米と日本の文化の違いがその理由とする分析が、実にユニークで面白い。住田氏によれば、人の感情を読み取るとき、欧米人は 相手の『口元』に注目し、日本人は相手の『目元』に注目するという違いがあると指摘。このため、欧米人は目元を隠すサングラスに抵抗がなく、日本人は口元を隠すマスクに抵抗がないのだという。それが証拠にスマホのメールで使う「絵文字」の表現で欧米人と日本人の感覚の違いがよく分かるという。日本人は><や^^のように目を表す絵文字を使って感情を表現するのに対して、欧米人は:P(タテにすると舌を出してる顔に見える)や:D(タテにすると笑顔に見える)のように口元を表す絵文字を使って自分の感情を表現するという違いがある。古来から「目は口程に物を言う」と考える日本人が、マスクを外す必要性をまったく感じないのは、「話相手の目が見えればコミュニケーションに困らない」と思っているからかもしれない。