ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

映画「卒業」の一言「プラスチック」は、米国人の黙示録。

1967年のマイクニコルズ監督の映画「卒業」の1シーン⬆、自分の将来について悩むダスティ・ホフマン演じるベンジャミンに、父の友人であるマクガイア氏が「一言だけ言っておこう、よく聞き給え」間を置いて「プラスチック」。ベンジャミン「どういう意味ですか」マクガイア氏「プラスチックには素晴らしい未来があるってことだ。よく考えて見なさい」。アメリカの知識人が、破滅的な未来について語る時、この「プラスチック」と一言だけ発言する映画「卒業」のワンシーンをしばしば引き合いに出す。言ってみれば、プラスチックというワンワードが、破滅的な未来や世界の終末を予言したヨハネの「黙示録」にソックリだと現代のアメリカ人は考えているようだ。映画が作られた60年代には木や鉄に変わる新素材としてもてはやされたプラスチックは、半世紀を経て深刻なゴミ問題や海洋汚染の問題を引き起こすようになる。アメリカの“plastic”というワードには「偽物の (false)」や「いんちきな (phony)」という意味もある。半世紀前、明るい人間の未来を約束したプラスチックは、環境を汚染し、地球を破滅へと導くインチキな素材だったという半世紀後の結末。そして現在、コカ・コーラやユニリーバなどの多国籍企業は、プラスチックを「2025年までに、100%再利用可能、リサイクル可能、または堆肥化可能なパッケージに変換することを約束する」と宣言した。果たして、「プラスチック」は現代の「黙示録」の汚名を返上できるだろうか。