ノーネクタイのMy Way

ネクタイを外したら、忙しかった時計の針の回転がゆっくりと回り始めて、草むらの虫の音や夕焼けの美しさ金木犀の香りなどにふと気付かされる人間らしい五感が戻ってきたような感じがします。「人間らしく生きようや人間なのだから」そんな想いを込めてMywayメッセージを日々綴って行こうと思っています。

認知症の医師が認知症になって、見えた風景とは。

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認知症発症を見つけるための「認知症スケール」を世界で初めて開発したことで知られる聖マリアンナ医科大学名誉教授で精神科医の長谷川和夫先生⬆。その長谷川先生自身が, 2017年88歳で認知症であることを公表、「認知症の第一人者が認知症になった』と、大きな話題となった。長谷川先生は、認知症になって初めて分かった当事者の胸の内を忘れないためにと日記を綴った。「自分自身が壊れていきつつあることは、別な感覚で分かっている。十分に分かっているつもりではないけども、ほのかに分かっている。確かさ、確かさっていう生活の観念が。生きている上での確かさが少なくなってきたように思う」「一生懸命、一所懸命やってきた結果こうなった。どうも年をとるということは容易ではない。僕の生きがいは何だろう?」「余分なものは、はぎとられちゃっているわけだよね、認知症になると。(認知症は)よくできているよ。心配はあるけど、心配する気づきがないからさ。神様が用意してくれたひとつの救いだと」さらに、「認知症になって見える景色はどんな景色か」と問われると、「変わらない、普通だ。前と同じ景色だよ。夕日が沈んでいくとき、富士山が見えるとき、普通だ。会う人も普通だ。変わらない」と先生は答えている。認知症発症後90歳を過ぎてなお「103歳まで生きて100歳を超えた老人が、どんな思いで生きているのか、何を残したいと思っているのかを研究したい」と語っていた長谷川先生、昨年、92歳で天寿を全うした。